希望を求めて アキトはこの戦闘に出るまでののことを思い出し苦笑した。
そのときこの新しい機体の名前のことを思い出した。

「セレナ、この機体の名である『シオン』の花のこ『マスター』」
アキトが機体名について聞こうとするとセレナから連絡がはいった。

「・・・・如何したセレナ」
『ボース粒子を確認しました』

アキトは解いていた緊張を再び纏い相手の出現を待ち構えていた。
しかし、そこに現れたのは敵である火星の後継者の残党でもなく、
またナデシコでもなかった。
そこに現れたのは復讐を誓ってから苦楽を共にした白亜の艦ユーチャリスであった。

「・・・・ラピス、か」

第二話

始まり


アキトが出撃し30分後ラピスは胸騒ぎを感じアキトのもとへ行った。
アキトの部屋の前に着き扉を開いても其処にはアキトは居らず不安は一層増していった。
そんな時エリナとアカツキの会話が聞こえた。

「アキト君・・・行ったのね」
「ああ」
「そのことはもうラピスは知っているの」
「いや、まだだよ。あの子には僕からじゃなく君やドクターから知らせた方がいいと思ってね」
「・・・・・わかったわ、私から伝えるわ」
「よろしく頼むよ。どうも僕は嫌われているみたいだからね」
「それはあなたが「ガシャン!!」嫌われ」

そのときラピスがエリナとアカツキの前に飛び出してユーチャリスのある格納庫に向かって走り出していった。

「アチャ〜聞かれちゃったかな」
「何のんきなこと言ってるの!!ラピス待ちなさい!」

エリナは駆け出すラピスの後を追いかけ、アカツキはその場で暫く佇みゆっくりとエリナたちの後を追った。


ラピスが格納庫に着くとイネスがラピスを待っていたかのように佇んでいた。

「どこに行くのラピス・・・」
「・・・・どいてイネス」
「ラピス少し落ち着きなさい。今から追いかけて如何するの?」
「・・・・」

ラピスはイネスの言葉には答えなかったがその顔を見ると何が言いたいのか一目瞭然である。
イネスは一度ため息をつき懐から一つの無針注射を取り出しラピスの前に出した。

「ふぅ・・・ラピスこれを持っていきなさい。」
「・・・これ何?」
「これはアキト君の体内にあるナノマシンを中和する薬よ。詳しく説明したいけど・・・・そんな暇はなさそうね。」

イネスはそういうとラピスにそれを渡した。

「効果はナノマシンを中和することで失った感覚の八割から九割程度回復すると思うわ。それによっておそらく寿命の方も回復するはずよ。あとこれは大切だからちゃんと覚えておきなさい。次の発作が起こる前に打たないと危険よ、彼の体、彼が思っている以上に悪化しているから」

ラピスはその事を聞くとイネスの横を抜けユーチャリスへと再び駆け出した。



ユーチャリスが起動しジャンプする直前格納庫にエリナが駆け込んできたが次の瞬間そこに白亜の戦艦はいなくなっていた。

「イネスどうしてラピスをとめなかったの!!」
「どんなことをしても無駄よ。無理やり引き止めても今のあの子のためにはならないわ」
「そんなこと・・・・そんなこと分かってるわよ」
「なら、行かせてあげなさい。それに今のアキト君を止められるとしたらあの子しかいないわ」

エリナが格納庫に来て暫くするとアカツキも歩きながらやってきた。

「やっぱり行っちゃったんだ」

アカツキはまるで予定どうりだというような態度とっていた。
そんなアカツキの態度を見たエリナはアカツキを睨みつける。

「あなたラピスが聞いていたのが分かってあんな話を!!」
「そんな怖いかをしないの。きれいな顔がだいなしだよ。まぁ気づいてきたてことではそのとおりなんだけどね」
「気づいていてなんで!!」
「まぁイネス女史と理由はおんなじなんだけどね」
「それでも・・・・」

エリナは言い返そうとしたが言葉が続かず唇を噛み締めた。

「彼女に任せてみようよ。もしかしたらアキト君と一緒に帰ってくるかもよ」

(でも、一緒にどっかにいっちゃう可能性もあるけど・・・)
アカツキはそんなことも考えながらその場を後にしその場にはエリナとイネスが残った。




「・・・・ラピス、か」

アキトは目の前の白亜の戦艦ユーチャリスに通信をつないだ。

「ダッシュどうしてラピスをここにつ『アキトのうそつき!ずっと一緒にいてくれるっていったのに!!!!』」

アキトの質問はラピスの叫びにかき消された。
そして、ラピスの泣き顔を見ると言葉が詰まった。
しかしアキトはそんなラピスを無視するよう再びダッシュを追及した。

「もう一度言うぞ。ダッシュどうしてラピスをつれてきた」
『それはラピスの願いだからです。それに私もマスターに死んでもらいたくはありません』
『私はアキトがいてくれたらそれでいい!!』

ラピスは泣きながらアキトに訴えかける。

俺は其処まで大切にされるような人間じゃない。
罪のない多くの人を手にかけこの両手は血で真っ赤に染まっている。
いくらその殆どが火星の後継者の仕業だとしても。

そんなことを考えていたアキトにセレナから緊急の連絡が入った。

『マスターボース粒子の増大を確認。出現場所はユーチャリスの500メートル後方です』

アキトはその連絡を聞くと急いでユーチャリスの後方に向った。
敵戦艦はユーチャリスに手法の標準を合わせ砲撃体制に入っていた。
アキトはユーチャリスと敵艦との間に入りユーチャリスをラピスを敵の砲撃から守ろうとした。

『アキト!!!!!!』
『マスター!!』

ラピスとダッシュが叫んだ瞬間敵艦からの主砲が発射されシオンに直撃した。
セレナには問題はなかったが防御体制が整っていなかった為ユーチャリスの方まで飛ばされ激突した。

「機体に問題はないか?後ユーチャリスの方も」
『機体に問題は有りませんマスター。ユーチャリスの方も問題ないようです』

アキトはその報告を聞き安堵したが次の瞬間

『マスター、シオンのジャンプ・システムに異常が発生。ランダムジャンプに移行しています』
「なに!!!!」

シオンの異常を見たラピスはユーチャリスを近づけた。

『アキト!!』
「いかん!ラピス今すぐここから離れろジャンプに巻き込まれる!!」
『いや!!絶対にいや!!私アキトとずっと一緒にいるってアキトと約束したもの』
「くそ・・もう間に合わん・・すまんラピス」
『私アキトと一緒なら大丈夫』
「本当に・・すま」

その瞬間その場所から一機の機動兵器と白亜の戦艦は姿を消した。





・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・・
「・・・・うぅ・・ここは・・・・っ!!ラピス!!!」

アキトは気が付くとラピスが倒れているのを目にした。

「ラピス!!ラピス大丈夫か!!」
「・・・うぅん・・・・ア・・・キ・・ト・・・・っ!!アキト!!!!!!」

ラピスはアキトの呼びかけに意識を取り戻し明人を確認すると抱きついた。

「・・・ラピス」
「アキト・・・ラピス・・お、置いてい、いっちゃやだ」
「・・・・・ラピス」
「・・・置いていっちゃヤ・・・ダ」

ラピスは泣きながらアキトに抱きつき自分の本音をぶつけた。
アキトは暫くラピスの好きなようにさせた。
こんなにも自分を必要としていることをうれしく思う半面、もし自分がいなくなってしまった時のことを考えると今のラピスがどうなってしますか・・・考えるだけで体の心から恐怖してしまった。
ラピスを宥めながらアキトは今の自分たちの状況を確認する為にセレナに通信をつないだ。

「セレナ、ダッシュ、聞こえるか」
『『Yes、マスターなんでしょう』』

セレナとダッシュの声が聞こえることから同じ場所にジャンプしたことになる。
その事に一先ず安堵し続けてこの状況の確認の為の調査をさせる。

「セレナ、ダッシュ今の状況、場所などを確認しろ」

セレナとダッシュはアキトの質問を確認すると状況の確認を始め5分ほどしセレナから通信が入った。

『マスター、状況の確認が済みました。簡単に言いますと今私たちがいるこの場所は私たちのいた時代とは異なります。今は1924年の地球です』
「なに!!」
『さらに言いますと、私たちが居た世界とも異なるようです』
「つまり・・・平行世界の過去に来たということか」
『おそらくそうなのだと考えられます』

(・・・・時代と世界を超えたこの場所からもと居た場所への帰還はほぼ無理。
こうなると・・・グフ)

「ゴホ、ゴホ」

アキトは全身に鋭い痛みを感じ血を吐いた。

「アキト!!!」

ラピスの叫び声を聞きながらアキトの視界は地面に吸い寄せられる。

(ここに来て発作が・・・くそ・・・こんな・・・)

ここでアキトの意識が落ちそうになった。

「アキト!!アキト!!!ヤダ、ヤダ目を開けてよ!!!」

ラピスは倒れたアキトの背中を揺すりながら何度も何度も訴えかける。
そのとき、アキトを追いかける前にイネスに渡された薬のことを思い出した。
そして渡された無針注射器を取り出しアキトの素肌が出ている首もとに押しやり薬を注入した。

「!!!!!!!!」

その瞬間アキトは体の中に何か這いずり回るような感覚が訪れ、意識を保つことが出来なくなり意識を失った。
ラピスはアキトの意識が失った事により焦った。
そして、アキトの体に変化がおとずれた。
アキトの髪の毛が黒から銀色に変化していった。
それはまるで生気が失われていっているようにラピスは感じた。

薬が効かなかったのか。
もう目を覚まさないのか。
そんなの、いやだ!!
絶対にいやだ!

「アキト!!目を覚まして!!アキト!!!アキト!!!!!」
ラピスはより一層強くアキトの体を揺らし出る限りの大きな声でアキトの名前を呼び続けた。





その日、かすみは次回公演の前売り券や伝票の整理などで帰りがいつもより遅くなっていた。
いつもであればゆりや椿と一緒に帰るのであるのだが今日は二人とも用事があるということで一緒ではなかった。

「だいぶ寒くなってきたわね」

一言言葉を漏らし帰宅を急いだ。
そのときかすみの耳に女の子の声が聞こえてきた。

アキト・・・・アキト・・・アキト」

かすみはこんな夜中に女の子の声が聞こえたことに不思議に思い声のするほうに足を運んだ。
其処には全身黒ずくめで銀髪の人が倒れており、その人にすがるように女の子が泣きながらおそらくその人の名前なのだろう声がかれるほど呼んでいた。
かすみはそれを見ると急いで駆け寄った。

「如何したの。大丈夫」

声を掛けられたラピスは一瞬ビク!と体を震わしたが次の瞬間かすみにすがりついた。

「お願い、アキトを助けて!!お願いアキトを!!!ラピス何でもするから!どんなことでもするから!!」「大丈夫。大丈夫だからね、落ち着いて」

かすみは自分にすがりつくラピスという少女を落ち着かせ宥めながら言った。
そして倒れ意識を失っているアキトに手を伸ばした。

「っ!!ひどい熱、すぐに治療しないと!」

かすみはアキトの状態を確認すると人を呼びに行こうとしたがラピスのことが気になり声を掛けた。

「・・・ラピスちゃんでいいのかな」

ラピスはその質問に泣きながらだが小さくうなずき肯定した。

「ラピスちゃん、これからこの人、アキトさんを運ぶために人を呼んでくるからここで待っていて」

ラピスは不安な表情をしていたが、それでも我慢するように一度うなずいた。
それを確認するとかすみはその場を走って人を呼びに行った。

「・・・アキト」

ラピスはもう一度小さくアキトの名を呼んだが返事はなかった。



(急がないと・・・・・)

見た感じから分かるようにあの男性と少女は訳ありということが分かる。
しかし、男の人の格好はとても怪しかったが少女の様子から悪い人には思えなかった。
そんなことを考えながらかすみはよりスピードを上げ走った。


ラピスはうつ伏せのままでは苦しいと思ってアキトを仰向けにさせた。
そしてアキトの手を握った。
アキトの体はとても熱く呼吸もとても浅い。
ラピスは不安な自分の心を一生懸命押さえ込んだ。
そして少しでも不安を軽くするかのようにアキトの手をより強く握った。


いったいどのくらいの時間がたったのだろうか、実際には10分も経ってはいないのかもしれない。
しかしラピスにはその時間がとても長く感じられた。
早く助けが来てほしい。
ラピスはそう強く願う。
そのとき、ラピスを呼ぶ声が聞こえそちらに向く。

「ラピスちゃん!!」

其処には三人の人を連れてきたかすみの姿があった。
ラピスはかすみの姿を自分の視界に入れると緊張の糸が切れたのか意識を失った。





管理人感想。
ども。前回はネット環境が悪くて感想かけませんでしたが、今回は書きますぜ。短い感想ですがね…。
サクラ大戦ですか。…よくわかりません。すみませんです、はい。
でも、内容が充実していてとても読み応えがあります。
これなら原作知らない自分でも楽しめそうだ。
もうすぐ新年明けますが、俺は何時でも投稿受け付けてるので続きを楽しみに待ってます。
ではまた。