「迂闊なり、テンカワ・アキト」

「我々と一緒にきて貰おう」

怪しげな笑みを浮かべた北辰が、アキト達に近づいてくる。

そう、我等と共に再び、ゲキガンガー3。

全話連続視聴耐久マラソンに付き合ってもらうぞ。テンカワ・アキト!

勿論二週目三週目は当たり前だがな。休憩時間など必要あるまい。まぁトイレぐらいは許してやる

寝る時も、ゲキガンガー3の睡眠学習を行ってもらう。汝はゲキガンガー3の礎となるがよい!

「な、何あれ?」

我等はゲキガンガー3の伝道者、木蓮を影から支える者

そしてゲキガンガー3を心の底から愛する、ゲキガンガー3に選ばれた使徒だ!

ドン!ドン!ドン!。テンカワ・アキトが我に銃を撃ってきおった。しかし

超熱血バリア(携帯ディストーション・フィールド)によって我は傷一つも付かぬ

熱血魂たるゲキガンガー3が我を守っているのだ。無駄な事よ

「重ねて言う、一緒に来い」

さぁテンカワ・アキト!貴様もかつては、ゲキガンガー3の使徒だったのなら分かるはずだ。

我等と共にゲキガンガー3の高みを目指そうぞ!

「ア、アキト君。」

女、貴様が、我等の同志だった。テンカワ・アキトを誘惑した悪しき魔女か?

だが、我には貴様の魔性の力など通じぬ、テンカワ・アキトは返してもらうぞ!

多少の怪我も致し方ない。ゲキガンガー3を見れば誰しも超回復能力が身に付くのだ

かつて、地球を影から守ったとされるゲキガンガー3の申し子。ダイゴウジ・ガイの様にな。



「手足の一本は構わん・・・斬!」

手足の一本など、我ならゲキガンガー3を全話見終わった頃には完治しておる。

他の者はまだ我と同じ高みまで到達していないが、

このままゲキガンガー3を極めれば、何れ他の者達もこの境地に達する事だろ。

「あんた達は関係ない、とっとと逃げろ」

ゲキガンガー3の使徒と関わった者は、誰一人この運命から逃れられぬ。

それはテンカワ・アキト!貴様もゲキガンガーと言う。運命の輪から抜け出す事など叶わんのだ

いくら足掻こうとも、ゲキガンガー因果律は絶対の真理

一度でもゲキガンガー3の使徒と、同じ時間を歩んでしまった者は

その心をゲキガンガー3によって囚われてしまう。我もまた囚われの身

ゲキガンガー3に全てを委ねる者。即ち!ゲキガンガー3の七番目の使徒!北辰!

「こういう場合、逃げられません」

当然逃がす気は無い。諦めて人生の幕引きを迎えるがいい。

だが、死は終わりではない、始まりなのだ!

輪廻転生!次ぎ生まれてくる時はゲキガンガー3の使徒として

生前の罪を悔い改めて、文字通り生まれ変わって、ゲキガンガー3に奉仕する立場になるがよい。



「そうよねぇ〜」

分かっておるのなら、大人しくゲキガンガー3の元へ旅立つがいい!

葬式は我等の革命成功後、ゲキガンガー3合同葬でしてやるから心配するな

名前は知らぬが、アクアマリンその1で記名しておくぞ。

「女は?」

女、悪いがゲキガンガー3の為の生贄になってもらう

これはゲキガンガー因果律によって定められて運命なのだ。

女、お前は今日この日、墓参りの最中にゲキガンガー3の使徒によって天へ召される。

「殺せ」

恨むのなら、己の不運な運命を呪うがいい。

来世ではお前も我等ゲキガンガー3の使徒の側に立てる事を、ゲキガンガー3に祈るがいい。

「小娘は?」

ふん、妖精か、妖精にはまだ使い道がある。ラピスと同じ使い道がな。フハハハハハハ

「あ奴は捕らえよ」

貴様もゲキガンガー3の為の生贄になってもらうぞ、

心配するな、貴様もゲキガンガー3の役に立てるのだ。これこそゲキガンガー3の使徒としての至福なり。

「ラピスと同じく金色の瞳。人の業にて生み出されし白き妖精。

地球の連中は、ほとほと遺伝子細工が好きと見える」

ラピスのおかげで火星の後継者の邪教「萌え〜」なる不純物を排斥する事が出来た!

ゲキガンガー3の燃える熱き魂!こそ正義であり、

萌え〜なる気の抜けた、邪教は我等が組織には必要ないのだ。その様な者たちは必ず裏切るであろう!!

しかし、まだ隠れ萌え〜なる者たちが闇に潜んでいる!その者達を駆逐しなければ

我等が組織に、今後禍根を残す事になるであろ。その為にも妖精よ!

「汝は我が結社のラボにて、栄光ある研究の礎となるがよい」

ふふふ、妖精よナチュラルライチのコスプレをして、異分子を炙り出してくれよう!!

妖精よ光栄に思うがいい。お前は偉大なるゲキガンガー3の役に立てるのだ!

邪教に心奪われた者達を誘き寄せる、名誉ある撒き餌となってな。



「貴方達ですね?A級ジャンパーの人達を誘拐していた実行犯は」

ゲキガンガー3を全宇宙に広める為にも、A級ジャンパーの犠牲は必要だったのだ。

しかし今は彼等も心安らかに眠りに付いている。きっと来世ではゲキガンガー3の使徒として

生まれ変わり、立派に使命を遂げるであろう。

我ももっと善行を積んで、来世も使徒として生まれ変わりたい物だ。

「そうだ。我々は『火星の後継者』の影。人にして人の道をはずれたる外道・・・」

もっともその姿は仮の姿、本当の我はゲキガンガー3を崇める七番目の使徒なり。

ゲキガンガー3を全宇宙に布教させる事こそ、我が生き甲斐であり、

それは使徒としての当然の使命でもあるのだ!

「「「「「「全ては新たなる秩序の為」」」」」」

真のゲキガンガー3、宇宙布教の為!その魂の叫びを聞け!「レッツ!ゲキガイン!」

「ハハハハッ!」

うぬ?我が理想を笑う物は誰だ!姿を表さぬか!



「何!?」

お主は月臣!?・・・生きていたのか?!

今更お前の様な者が、何の様だ!貴様の出番は既に終わっているのだぞ!

「新たなる秩序、笑止!」

なんだと!ゲキガンガー3を主とする新しい世界を否定するのか!

それはゲキガンガー3に対する侮辱も同じ許さん!

「何!?」

影でこそこそ汚いぞ月臣!ゲキガンガー3を愛する者なら正面から堂々と登場しろ!

それとも貴様は木蓮男児たる熱血魂を忘れてしまったのか!

「確かに破壊や混沌の果てにこそ新たなる秩序は生まれる。

それ故、生みの苦しみ味わうは必然・・・しかし、草壁に徳なし!」

おのれ、ゲキガンガー3だけで無く、草壁閣下の事まで貶すか!許せん!

草壁閣下の代わりに今ここで貴様に天誅を加えてくれる!

「ええっ!?」

ふん。有り触れた登場パターンだな月臣よ。お前の熱血などその程度よ

我なら、効果音とスモークを用意するぞ、ヒーローの登場とはそう言うものだ。



「久し振りだな、月臣元一朗。木星を売った裏切り者がよく言う・・・」

ゲキガンガー3と言う、誇りを捨てた貴様はもはや木星人ではない!

抜け殻だ!何も入っていない。風船も同じ存在。

「そうだ。友を裏切り、木星を裏切り、そして、今はネルガルの犬。」

かつて同じ理想を目指した者が裏切る!これこそ王道アニメの展開よ

しかし、我にはゲキガンガー3が付いている。この程度の事態など蚊に刺されたも同じだ!

「隊長!」

くっ、他の者達は我と同じと言う訳にはいかぬか、

アニメの定番たる。かつて仲間として戦ったものが、敵として再登場する

そしてその姿を見て動揺する仲間達、うむ、月臣よ中々やるでは無いか、

「慌てるな・・・」

馬鹿者、この程度の事で慌てるなど、それでもお前達は名誉あるゲキガンガー3の使徒か

主人公は必ず多勢に追い込まれて、ピンチになると言うお約束を忘れたか!

「テンカワに拘り過ぎたのが、仇となったな、北辰!」



ふん。数で押した所でこう言う時は、

ゲキガンガーパワーが覚醒して、一騎当千の力を得るのがお約束なのだ!

「えっ?ええっ?」

うぬ?囲まれた?!くっ未覚醒では戦えぬ。

おのれ〜汚い手を次から次へと、さすが悪に染まりし地球の者達よ。

「久し振りだな、ミナト」

面妖な、墓の中から人が現れ追った。あの巨体でどうやって墓に隠れておった?

地面を掘って埋まっていたのか?ふっ、地球の者にも中々手強いそうな者は居るようだな。

「そ、そうねぇ・・・」

女、確かに墓からいきなり大男が現れたら、誰だってに驚く。我も正直驚いた。

しかしだ!戦士の登場に一喜一憂していたら心が持たぬぞ。アニメや漫画では当然ありうる展開だ。

「ここは死者が眠る穏やかなるべき場所。北辰、大人しく投降しろ」

バカめ!ゲキガンガー3ある限り、我は無敵よ

一ヶ月間飯を食わなくても、ゲキガンガー3のビデオを見続ける限り、我は生き残れる。

そんな我に投降だと、ふざけるな!投降云々は相手を見て言うがいい月臣!

「しない場合は?」

ゲキガンガー3を捨てて、現世を無駄に彷徨う貴様に何ができる?

超熱血魂に目覚めた今の我はまさに、ゲキガンガー3から、

真・ゲキガンガー3にパワーアップしたも同じ。そしてパワーアップしたゲキガンフレアー

略して真・ゲキガンフレアーを悪の地球に放つのだ!(パクリ?何の事だ、我は知らん)

「地獄へ行く」

ゲキガンガー3を捨てた貴様こそが地獄に行くがいい。

アカラ王子やハイペリオン皇帝も、地獄でお前の到着を待っているぞ月臣よ!



「出来るか?烈風!」

行け烈風!ゲキガンフレアーだ!悪の怪人となった月臣を打ち倒して我に正義を示してくれ。

そして木蓮の民を、邪悪なる地球連合の手から救ってくれ!

「応!」

うぬ、心強い返事だ烈風よ、次のボーナスの査定には期待していいぞ。

さぁ、お前の熱血魂の力で月臣を仕留めるのだ!

「シャアアアアッ!」

烈風の放つ、高速ゲキガンフレアーの前に敵なし!悪に落ちた月臣を吹き飛ばすのだ!烈風!

そして、死者の眠りしこの場所に、安息を届けてくれ。

「木連式抜刀術は暗殺剣にあらず」

うぬ〜・・ゲキガンフレアー返しだと!やりおるわ月臣。

「うっそぉ〜!」

女、驚く事は無い、月臣はゲキカンガ−流格闘術(木蓮式柔)の免許皆伝の腕前だ

そしてかつては木蓮の中でも有数のゲキカンガー信奉者だった。

ゲキガンガーの源流たる、超熱血魂が奴にまだ力を与えているのだろう。憎いやつめ・・・



「木連式柔・・・」

木蓮式柔では無い!ゲキガンガー流格闘術だ。天川アキト!

偉大なる先祖達が、強大な悪の地球と戦う為に生み出した奇跡の格闘術

それがゲキガンガー流格闘術。公式名では確かに木蓮式柔だが、

ゲキガンガー流格闘術の方が子供受けがいいのだぁーーー!!

「えっ?」

えっじゃない。何を驚く事がある、そんなに我の顔が珍しいのか?

残念ながら我は闇に生きる者ゆえ、我のブロマイドは何処にも売ってはおらんぞ。

「邪になりし剣・・・我が柔には勝てぬ。北辰、投降しろっ!」

うぬ、・・・烈風貴様!まさかナチュラルライチに毒されていたか!?、

それで剣の技が鈍り、月臣に負けたのだな!我の信頼を裏切るとは

・・・くっ無念、烈風よ、ボーナスの査定が楽しみだな。ふはははは

しかし熱血ある限り、我等のゲキガンガー3を信奉する者は滅びぬ、何度でも甦る。

古代の天空王朝の様にな。・・・インドラの矢?なんだそれは、我は知らぬぞ。

台本に書かれているセリフを言っただけだ。

「・・・跳躍」

見ておれ、我等の理想はまだ負けたわけではない。次こそは必ず!!

ゲキガンガー3は不滅だ!それ即ち、使徒たる我等も不滅!レッツ!ゲキガイン!

「なにっ?」

ふん、何を驚く。ゲキガンジャンプがそんなに羨ましいか月臣よ。お前も我等の理想を理解していれば

ゲキガンジャンプを自在に扱えたものの。

惜しい事をしたな。道を誤ったものには二度とチャンスは訪れぬと知れ!

「ボソンジャンプ!?」

ゲキガンジャンプと言え!ボソンジャンプでは無い!間違えるな!

そして我が宿敵天川アキトよ!我はお前を待っているぞ!

「フハハハハッ!テンカワ・アキト、また会おう!」

劇場版「ゲキガンガー3熱血大作戦」のプレミア試写会で先に待っているぞ!

「・・・・・・・北辰、・・・声優に転職しろ。」

何処か遠い日々を思い出すように、北辰達の居た場所を見つめるアキト。

その哀愁漂う背に一陣の風が舞い降りる。



後書き

何処で間違ってしまったのか、とんでもない方向に話が反れてしまいました。

ギャグ路線で書いていたはずなのに、道を踏み外してしまいました。

カッコいい外道北辰を壊してしまってスミマセン。

第五弾(最終回)は初心に戻りたいと思います。




感想
この理想は、決して――決して、間違いなんかじゃ、ないんだから――!





なわけあるか