「それでお前は俺をどうする気だ、俺を守ると言ったが、お前は何の為にそんな事をする?」

『マスターのお守は私だけの充分です・・・』

少女の意図が分からずアキトは少女に尋ねる。サレナも少女の発言に何故か対抗意識を燃やしていた。

目の前の少女は、相変わらず冷たい薄ら笑いを浮かべている。

「アキト殿は私を救ってくれる可能性を秘めています、ですから保護しました。」

「・・・救うとは一体何から?」

俺にそんな力があるとは思えない。CCがあればボソンジャンプする事が出来るが

今CCは無い、それ以前にこの世界に演算ユニットが無ければ、ボソンジャンプする事が出来ない。

エステバリスやブラックサレナ、ユーチャリスも無い。今の俺に何が出来る?

「私の身体は別な場所にあります。ここに居る私は幻影と言うべき思念体に過ぎません。

私は長い間、聖域に囚われている存在なのです。私は外に出たい、そして自由になりたい。

その為にもアキト殿力が必要なのです。」

アキトは驚いた、今の目前に居る彼女は幻影だと言っているのだ。彼女には確かに気配がある。

こんな芸当が出来る相手に何故、俺は力を求められるのだ?・・・理由が分からない。

「・・・君が求めるような力は俺には無いよ」

電脳ハッキングする事が出来るのはサレナのお陰であり。自分の力ではない。

ナノマシンによって身体能力が強化されているとは言え、

森で襲い掛かって来たエヴァンジェリンと言う、魔法使いの少女に手も足も出なかった。

あの時、サレナの力が無ければ、あの場から逃げ出す事は出来なかった。

そんな無力な俺に彼女は何を求めているんだ?

「アキト殿には他の誰にも無い力があります。貴方の体の中にある、一際不思議な光りを放つ結晶体」

アリスは真剣な眼差しでアキトを見ていた。そしてアキトは考える。彼女の言ったその意味を

「・・・体の中にある・・そうか、ナノマシンの事か!」

「そうです。そしてその中でも特別な力を持つ・・・ナノマシンの事です。」

恐らく、遺跡から検出したナノマシンの事だな。それしか考えられない。

サレナの力を持ってしても、制する事が出来ない未知な力と意思を持つナノマシン。

「・・・お前は一体何者なんだ?」

ある意味核心に迫る事を少女に尋ねる。何処まで俺の事を知っているんだ?彼女の正体は一体・・・

「私は古き地に囚われし者「アリス」・・・私はアキト殿の味方ですよ」

そう言うとアリスは何時もの冷たい薄ら笑いではなく、ほんの少し穏やかな笑みを浮かべた。

その姿を見たアキトは、ほんの少し顔が赤くなり体温が若干上昇した。

その僅かなアキトの反応を、リンクシステムに繋がっているサレナが見逃すわけが無かった。

『・・・マスター。現在我々がどう言う状況に陥っているか、ワカリマスカ!(怒)』

「うっ!!・・・わっ分かっているサレナ」

サレナから発せられた強烈な怒気に怯えるアキト。だがそれが冷静さを取り戻すきっかけとなった。

まず、彼女の真意が何処にあるか探らなければならない。

俺に知られては困る何かを彼女は企んでいる。それは直感だった。

「アリス、俺の味方ならこんな拉致紛いな事をせずに、ここに連れて来るべきではなかったのか?」

「それでアキト殿は納得しましたか?」

・・・当然納得はしない。当然現れた見ず知らずの相手を信じる程、自分はお人好しではない。

しかし、話し合う事ぐらいは出来たはずだ。

これでは問答無用で襲い掛かって来た。少女達と根本的に何処が違うのだ?

「それでアリスは・・・俺をどうするつもりだ?」

ここに俺を連れて来た本当の目的が知りたかった。まさか一時避難の為にここに拉致した訳ではあるまい。

気候、風土から考えて南国の何処かの島の様だが・・・サレナ曰くここは地球上ではないらしい。

また異世界と言う事も考えられるが・・・それは今判断する事ではない。

どうせ彼女は、俺を逃がすつもりは無いのだろうから。

そしてアリス発言は、アキトの予測していた通りの展開へとなった。

「アキト殿にはここで修行を積んでもらいます。今の貴方では普通の魔法使いにも太刀打ちできません」

悔しいがそれは恐らく事実だろう。吸血鬼の始祖エヴァンジェリンが、特別に強かった訳ではない

魔法の力その物に手も足も出なかった。自分の完敗だった。

対バッタ用の特殊貫通弾が効かない相手に、一体どうやって戦えばいいのやら。

「それでどんな修行を行えばいいんだ?期間は何時まで続ければいいんだ?」

まさか、10年も20年もここで生活しろとかは言わないよな。

「この世界で言うと480日でしょうね。」

480日。約一年と四ヶ月か。・・・割と短いな。三年ぐらいは覚悟していたのだが。

「・・・ん?この世界とはどういう事だ?」

やはりサレナの言う通り、ここは地球上ではないのか?

アキトの疑問に答えるようにアリスがこの世界の事を話す。

「ここは現実空間ではありません。魔法の力で生み出された異空間「エデンの箱庭」

ここでの一日は外での一時間に過ぎません。」

「なんだと!?」

480日を外の日数で直すと480÷24時間で20日間。

つまり、この世界での480日間は外での20日間でしか無いと言うことか。

それにしても魔法の力は異空間を作り出し、時間への干渉すら行えるとは。

改めて考えて見ると、とんでもない力だ。



「それで、具体的にどんな修行をすればいいんだ」

自分の身とサレナを守る為、力を手に入れる事にした。それはアリスの思惑に乗る事だった。

それは覚悟の上だ。力が無ければ何も選択する事が出来ない。逃げ出す事も戦う事も、それ以外の手も。

「アキト殿は魔法の修行を行ない魔法を覚えて下さい。それが強さを求める一番の近道になります。」

・・・魔法?そんなファンタジーな力が俺に使えるのか?・・・異世界の住人である俺に。

『マスター、一つ宜しいでしょうか?』

今まで黙っていたサレナが、突然話し掛けて来た。

「どうしたサレナ?」

『パイロット用のナノマシンのプログラムが、何時の間にか書き換えられています』

「・・・何!?」

一体誰にって考える必要も無いか。サレナ影響を受けずこんな真似が出来るのは

遺跡ナノマシン以外居ない。やはり何かの意思を持っているのか?このタイミングの良さは尋常じゃない

それともアリスが俺に何かしたのか?いや考え過ぎか、いくら常識の通じない魔法の力とは言え

サレナの影響をまったく受けずに、外部からナノマシンに干渉する事など絶対に出来ないはずだ。

「アキト殿、この先にある塔を自由に使って下さい、中にある図書室には、

多くの魔法書や魔法世界に関する様々な情報が記載さているので、色々と参考になると思います。

食料に関しても充分な蓄えがありますので、後はアキト殿が自分のやり方で、修行を積んでいってくださいね。」

そう言うとアリスは無邪気に笑顔を浮かべている。

「おっおい。アリス、お前は何もしないのか?!」

アキトはアリスが修行を付けてくれる物だと思っていた。

だから自分をこの世界に呼んだのではないかと・・・

「残念ですが、私の思念はそう長い間、飛ばしていられないのです。

次にここに思念を飛ばせるのは、外の時間では三週間後、この世界では480日後となります。」

それはつまり、この世界から数えて480日後でなければ、外の世界に絶対帰れないという事か。

いや、魔法を使えるようになればこの世界から出られるかもしれないが、

この世界から出る魔法を覚えるとなると、恐らく480日以上は掛かりそうな予感がする。

何にしても逃げ場なしか・・・それにしてもアリスの奴・・・

「アリス、無責任過ぎるぞ!俺を強引にこの世界に連れて来たのに、俺に全て丸投げか!」

アリスの不条理に、アキトは自分の不幸を呪わずにはいられなかった。

異世界に来てまで自分の不幸は続くのかと・・・

「それとアキト殿の修行の成果を見る為。最終日にはこの子と戦ってもらいます」

そう言うとアリスは両手を広げて、魔方陣の様な物を空中に展開する。

ゴォォォォォォォォン

その魔方陣の中には15mにも及ぶ巨大な・・・何かが居た。あちこち鎖で縛られ身動きできそうに無い物体

よく見ると竜を模した赤い石像の様だ。造形がかなり精巧に作られている。各所で職人技が光っている。

「この竜は見ての通り本物ではありません。魔法の力で動く石像、ゴーレムです。

本物の竜には及びませんが、それでも灼熱の炎を吐く事が出来ますし、飛行する事も可能です」

「こっこいつと戦えと言うのか!?」

ブラックサレナの二倍近くある竜の石像。エステバリスやブラックサレナが有れば

なんとか勝てそうだが、そんな物はここに無い事は分かっている。

「アキト殿ならきっとこの子に勝てますよ。私はアキト殿の勝利を信じていますから」

「くっ・・・」

現状では打つ手無し。この世界から魔法以外で出る、有効な手段も他に無さそうだ。

ここは大人くし自分の不幸な運命を受け入れるしかないか・・・

そんなアキトの気持ちがアリスに通じたのか。アリスから救いの手が一つ差し伸べられる。

「アキト殿一人では色々と大変でしょうから。このパクティオーカードを授けます」

パクティオーカードと呼ばれた。タロットカードの様な物が、何時の間にか自分の手元に有った。

そのカードをよく見ると、自分の名前と絵、それに人間時のサレナの姿が描かれている。

他にもよく分からない事が書かれているようだが・・・

「そのパクティオーカードは、アキト殿が私の従者(ミニステル・マギ)になった証しです」

「・・・アリス、俺はお前の従者になった覚えは無いんだが・・・」

まったく見に覚えの無い事を、突然言い出すアリスにアキトは困惑していた。

『私も記憶しておりません。一体何時したんですか?!』

サレナも記憶に無いらしい。本当は彼女の虚言なのではと思い、アリスに疑いの目を向ける。

「アキト殿がこの世界に来た直後、意識を失っているアキト殿と私が仮契約を行い、

アキト殿を私の従者(ミニステル・マギ)にしました。・・・ふふ。これが何か分かりますか?」

そう言うと、アリスの右手に見覚えのある黒い物が。

「俺のバイザー!?」

アキトがこの世界に跳んだ直後、無くしたと思っていた黒いバイザーが、彼女の右手に握られてた。

「これで信じてもらえましたか、アキト殿」

「信じる信じない以前に仮契約とはどんな物なのだ?従者の意味は?」

俺が気絶している間に、本当にその仮契約なる物をアリスが行なったのなら。

その契約内容を把握しておく必要があった。もし悪魔の儀式の様な、命や魂を捧げる類になると

命の危険に関わる事になるからだ。



「仮契約とは魔法使いの従者(ミニステル・マギ)になる契約名の事です。

魔法使いは魔法詠唱中は無防備になるので、その間、魔法使いを守る剣となり盾となるのが従者の役割です」

成る程、利に適った戦い方だ。前衛と後衛に分けて戦うと言う事か。

「それで仮契約の期限とは何時までなんだ、どの様にして仮契約は行なわれる物なんだ?」

・・・彼女に変な事されていないだろうか。少しアキトは不安に思っていた。

「仮契約の期限はアキト殿が死ぬか、私が死ぬまで有効です。

仮契約の方法は、魔方陣の中で両者が口づけを行なう事で契約が完了します。

そして両者はパートナーの関係となります。・・・アキト殿の唇は私が美味しく頂きました」

「・・・・・・・・・そうか。」

俺が気絶している間にアリスにキスされたのか、それにしても両者の同意が無くても、キスしただけで

仮契約は行なわれる物なんだな。この仮契約の規定はかなりいい加減だ。誰だ管理している奴は

・・・まぁ、決まってしまった事には仕方が無い。不本意だが受け入れるしか無いな。

『・・・・・許しませんよ!』

しかしサレナはアキトの不本意を通り越して、怒りが頂点に達していた。

『・・・口づけにパートナーですって、ふっふざけないで下さい!!

マスターのパートナーは私だけです!あまつさえ意識の無いマスターの唇を<無理やり奪うなんて

なんて破廉恥なんですか、アリス!今直ぐその仮契約を解除しなさい!!』

サレナの激しい嫉妬の情念が、リンクシステムを通じてアキトに伝わってくる。

しかし、サレナの声はアリスに届く事は無い。サレナの声はリンクシステムを通して

アキトにしか伝わらないのだ・・・だからサレナの声がアリスに届くわけが・・・

「それは無理ですサレナ殿。私の身体は今ここにはありませんから、

私の居る聖域に直接出向いて貰えるのなら、アキト殿の仮契約を解いて差し上げましょう、

それで如何ですかサレナ殿?」

ア、アリス、君は今なんて言った?

『!!!!!!!!!!!』

「サ、サレナの声が・・・アリスには聞こえるのか?」

驚いた、彼女にサレナの言葉が届いたのか?・・・一体どうやって?

「おや、私がサレナ殿声を聞ける事に驚かれましたか?私達魔法使いは念話と言う

テレパシーの様な物で、意思疎通を図る事が出来るんです。同じ方法で私はサレナ殿の話を聞いていました」

魔法の力か、今更だが悩む事が馬鹿らしくなるほど非常識な力だ。

本当になんでもありなんだ・・・。自分は魔法の力に呆れていた。

「・・・それでアリスの従者になった、俺のメリットは何だ?

アリスの話を聞く限り、俺には何のメリットも無いように聞こえるが。」

無理やり契約した物だ。こちら側には何のメリットも無いと思っていたが・・・

まさかあんな物が付いて来るとは。この時は予想もしていなかった。

「仮契約を行なった従者には、もれなく魔法道具が一つ進呈されます。

アキト殿に渡した仮契約の証し、パクティオーカードが魔法道具を呼び出す鍵となっています。

オリジナルであるマスターカードは私が所持していますが、コピーしたパクティオーカードでも

オリジナルと寸分換わらない機能がありますので、ご安心ください。

アデアット(来れ)と言えば、パクティオーカードがアキト殿専用の魔法道具に変わり

魔法道具をしまいたい時は、アベアット(去れ)と言えば元のカードに戻ります。

アキト殿の魔法道具は非常に興味深い物ですね。一度使って見てはどうですか?」

アキトは手に持ったパクティオーカードを眺める。

こんなタロットカードの様な物が、本当に魔法道具に変わるのか?

『マスター、どうします?』

「試してみるか・・・アデアット」

アキトが言葉を発した途端、パクティオーカードが光りを放って

カードは直径30センチ程の丸い鏡へと変わった。

「・・・鏡?」

一見何のへんてつも無い鏡。その鏡を覗いて見るが・・・何も映らない?

鏡なのに自分の姿を映し出さなかった・・・?

「何だこれ、これが本当に魔法道具なのか?」

不思議に思いつつもアキトはもう一度鏡を覗く、すると今度は見知らぬ女性が鏡に映りこんでいた。

そして次の瞬間、鏡が眩い光を辺り一面に放った。

「うわっ・・・・」

あまりの眩しさからアキトは鏡から顔を逸らした。やがて光りが収まり、もう一度鏡を覗いて見るが

そこには先程まで映っていた女性の姿は無かった。勿論自分の姿が鏡に映ることは無い。

「・・・一体どうなっているんだ?」

不思議に思いつつも、鏡を見るが相変わらず鏡に変化は無い、

そんな時、ふと自分の後ろに気配を感じたので、後ろを振り向いて見ると

そこには先程鏡に映っていた、見知らぬ黒い着物姿の女性が立っていた。

「・・・・!?」

アキトは咄嗟に着物の女性と距離を取り、木蓮式柔術の構えを取る。

「・・・・・・」

女性は何故か、今の状況を理解していないのか、その場でぼぉーとしている。

しかし、こうも簡単に後ろを取られるとは思ってもいなった。彼女は一体何者だ!?

「・・・・・・お前は誰だ?」

アキトはかなり警戒しながら女性に訊ねる。

しかしこの女性は何処かで見覚えがあるのだが、それが思い出せないでいた。一体彼女は誰なんだ・・・

長い黒髪に黒い瞳、白い肌。そして黒い着物を来た大和撫子の様な20歳前後の女性

昔何処かで見たような・・そう思い、過去の記憶を探っていく。

「・・・・・・ひっ酷いです。マスター」

そう言うと、着物の女性は目に涙を溜め始める。

「え?!・・・この声に、マスターってまさか!?」

「そうです!私です。サレナです。なんだか人間になってしまいました。」

そうかサレナか、ようやく思い出した!この姿はサレナが自分で作った擬似映像では無いか。

作戦行動中は情報処理に負担が掛かる為、この擬似映像では無いが

時間が余った時や暇な時に、この姿でサレナが居る事があった・・・。

「し、しかし・・・どうしてサレナが人間に」

確か鏡を見るまでは俺の中にサレナは居たはずだ。それがどう言う訳かサレナが人間になってしまった。

俺もサレナもあまりの事体に動揺していた。

「それがアキト殿のアーティファクト「幻影魔鏡」の力です」

アリスが俺の持つ鏡を指差して答える

「幻影魔鏡?」

手に持った鏡を改めて眺める。そう言えばこれは魔法道具だったな。

魔法の力を持った鏡が、何らかの理由でサレナを実体化させたのか?



「幻影魔鏡の効果は、アキト殿と同じ姿と同じ能力を有する。ドッペルゲンガーをアキト殿の影を触媒にして

実体化するんですが、どう言う訳かアキト殿の中に居る。サレナ殿の姿が実体化したようですね」

アリスの発言を裏付けるように、自分の足元の影が無くなっていた。

・・・この状態で日の光を浴びると消滅してしまうとか。怖い事にはならないよな?

今のところ身体に異常は無い。一様この世界の日の光は大丈夫だと思うが、元の世界に戻った時、

本物の太陽の光を浴びて、消えてしまうなんて事は・・・

「アリス少し訊ねるが、影が無くなった状態で、太陽の下を歩いても大丈夫だよな?」

アキトの言葉にアリスは驚いた後・・・悲しい声で

「・・・済みません・・忘れていました。・・・手遅れですね・・」

「なっ!?」

・・・そんな嘘だ!!・・・俺の人生はこれでお終いなのか。そんな・・・こんな事で終わるなんて

サレナと共に生きると決めたのに・・・

驚愕の表情を浮かべるアキト、そんなアキトを見てアリスは笑っていた。

「・・・冗談ですよ。アキト殿」

「・・・・・・・・・・・・・」

こいつ、俺をからかったのか・・・。冗談と分かってほっとしたが、

こんな下らない手に引っ掛かるとは自分が情けない。これも全て魔法の知識無い故の失態だ

「さて・・・どうしたものか・・・うん?サレナ、大丈夫か?」

相変わらずぼぉーとしているサレナを見て、彼女に声を掛けて見るが返事が無い。

「おーーーいーー、サレナ!。大丈夫か!」

少し大きめの声でもう一度、彼女の名前を呼んでみると

『マッマスター・・・私、人間になっちゃいました!!!』

アリスと言い合っていた、先程の不機嫌な気持ちも何処かに行き。

サレナは人間になれた事が余程嬉しいのだろ。その場で飛び跳ねたり、クルクル回ったりして

人間の感触を楽しんでいる・・・しかし。本当に彼女はサレナなのだろうか?

アキトは確認の為、手に持った幻影魔鏡をもう一度パクティオーカードに戻して見る事にした。

「・・・アベアット。」

ボン!と言う白煙を上げて、手に持った幻影魔鏡が元のパクティオーカードに戻る

それと同時に先程まではしゃいでいた、サレナの姿も消えていた。

「すっ凄いな。このカードは・・・」

手にしたパクティオーカードを眺めるアキト。本物の魔法道具に改めて感激する。

アニメや漫画の空想とは違い。今自分が手に持っている物は正真正銘の本物の魔法道具

アキトは感動の余韻に浸ろうとしていた時・・・

『マスター!!!どうしてカードに戻すんですか!!私、人間になれて感動していたんですよ!」

リンクシステムを通してサレナが怒鳴り込んで来た。サレナが人間になれて

感動していたのは自分だけではない、サレナも同じぐらい、いや、それ以上に彼女は感動していたのに

自分が水を差してしまった。これではサレナが怒るもの無理は無い。

「うっ・・。すまん。アデアット」

再びパクティオーカードを鏡にして、アキトは鏡を覗き込む。

少しした後、鏡にサレナの姿が映し出され。先程と同じ鏡が光を放って、

光が収まった頃には、サレナがまた後ろに立っていた。

「う〜む〜何度見ても凄い。これが魔法の力なのか。」

アキトは手に持った鏡とサレナを交互に見る。

『私もです。まさか、こうして人間になれる日がやって来るとは、夢にも思いませんでした。』

サレナは夢心地のまま、うっとりした瞳をアキトに向ける

『(マスター、ようやく貴方の隣に立てる日が来ました。今日は私にとって人生最高の日です)』

サレナは歓喜に打ち震えていた。アリスがアキトと強引に仮契約をして、パートナーになった事や、

意識が無く気絶しているアキトの唇を、アリスが奪った事は既に記憶に無いらしい。

「しかし、そうなると俺のナノマシンはどうなるんだ?サレナが制御して無くて大丈夫なのか」

サレナが実体化した事で、アキトは自分のナノマシンがどうなるか心配になる。

『それは大丈夫だと思います。私とマスターのリンクは実体化した後も、まだ形成されているので、

リンクシステム経由で、マスターのナノマシンの制御を行いますので』

「そうか、色々面倒書ける事になるが、これからもよろしく頼むぞサレナ」

そう言ってアキトはナデシコに乗っていた頃の様な、綺麗な笑顔をサレナに向ける

これが多くの女性を魅了したと言われる。天河スマイルを自然と浮かべていた。

『・・・・・・・・・マスター』

心から笑っているアキトの顔を初めて見たサレナ。

自分が知っている彼の笑顔と言えば、復讐時代に浮かべていた。火星の後継者に向けられる薄ら笑いと、

苦悩していた時に見せた苦笑のみ。こんなに素直な笑顔をサレナは見た事が無かった。

自分の心がとても温かい物で包まれる感じがした・・・本当に彼の笑顔が見れて嬉しかった。

『マスターにはやっぱり、笑顔が似合いますね』

「そうか・・・。ありがとうサレナ」

サレナとアキトは二人とも心から笑みを浮かべ合った



「・・・アキト殿。パクティオーカードはお気に召しましたか?」

アリスはアキトとサレナが落ち着いた所を見計らって、再び話し掛けてきた。

「ああ、気に入った。」

正直に言えばまだ納得出来ない部分も多い。人が気絶している間に従者の誓約を行なった事や、

この世界に無理やり連れてこられた事、それに480日後に竜の石像と戦わせられる事もだ。

しかし、その代償としてサレナを実体化させる方法を手に入れたのだから。充分な見返りは得た

「もうあまり・・・思念体を維持できませんね。私はこれで帰らせてもらいます」

そう言うと、アリスの体が徐々に薄くなっていく。

「そうか・・・。気を付けてな」

「心配して下さるのですか?ふふ、嬉しい限りです。早く貴方と本当の身体で会いたいですね」

俺も彼女に会って見たくなった。それは興味から来る物か好奇心から来る物は分からない。

それは直感だった。もっとも。サレナの場合は少々違うようだ・・・

『仮契約を解除してもらう為にも!マスター、必ずあの女の下に乗り込みましょう!!」

別に仮契約を解除しなくても、・・・解除したら魔法道具が失われて

サレナが実体化出来なくなるがいいのか?その問をサレナに聞いてみると

『他の魔法使いの方と仮契約して貰います。マスターと他の方がキスする事も、この際我慢します。

でも、マスターがアリスの従者と言うのだけは、納得する事が出来ません!!

あの女は信用できません、必ずマスターに災いが降りかかります。これは私の直感です!!』

それは俺も同感だ。アリスはまだ俺達に何かとても大事な事を隠している気がする。

彼女が信頼の置けない相手だと言う事は分かる。彼女の目的は最初から俺を理由する事なのだから

俺を従わせる何か、強力な切り札を持っていても可笑しくは無いはず。

「私の事を疑っているようですねアキト殿、ふふ。貴方に大切な事を教えていませんでしたね

星野ルリ、ラピス・ラズリと言う。二人の琥珀の瞳の少女達をご存知ですね?」

マシンチャイルドの少女達。俺に取っては娘も同然の存在。

「何!?・・・どうしてその事を!!」

魔法の力で自分の記憶を覗かれたのかと、アキトは思ったのだが、

アリスが次に言った事は、予想もしていなかった事だった

「彼女達は私が保護しています。一年程前、彼女達は私の下へとやって来ました。

彼女達が言うには、ボソンジャンプで貴方を追って来たと言っていましたよ。」

そんな・・馬鹿な・・・何故俺なんか追いかけて来たんだ。

それ以前にどうしてラピスが一緒に居る?彼女の記憶は処理したはずなのに・・

自分がイネスに頼んで施した、彼女の記憶操作が失敗に終わり、彼女の記憶が戻ったのかと思ったが

イネスの事だ。例え記憶が戻ったとしても再び記憶の操作を行なうはず。ではどうして俺を追って来た。

「待て!!ラピスやルリちゃんが。この世界に来ているのか!!」

何かの間違いであって欲しい、そう思いながらも、アキトは彼女に聞かずにはいられなかった。

「来ています。そして貴方の事を待っています。ですから早く私の下へ来てくださいね。

そうすれば貴方も彼女達と再会する事が出来ます。」

アリスの言葉の意味から察するに、ルリちゃんもラピスもアリスの下に居るのだろう。

「そんな・・・彼女達が俺を追って・・・」

死に損ないの俺なんか追って、命がけのジャンプをしたのか。ルリちゃんとラピスは・・・

「どうやら時間切れの様ですね。では480日後、再び会いましょうアキト殿」

アリスの身体は既に半透明になるほど消えて、後ろ側の景色が見える程になっていた。

「まっ待て、まだ話は終わってはいない。ラピスとルリちゃん達は無事なのか!!」

彼女達は果して無事なのか、元気で過ごしているのか、それが一番の気がかりだった。

「彼女達は元気ですよ。」

アリスはそう言うと、幽霊の如くその場から完全に消え失せてしまった。



「ルリちゃん。ラピス。・・・・」

これがアリスの切り札と言う訳か、俺を従わせる為の、彼女の目的に近づく為の飴であり鞭か。

『マスター、ルリやラピスの想いを無駄にしない為にも、ここから生きて出る為、強くなりましょう』

強くか・・・再び強さを求める事になるとは、だが今度は復讐の為ではない

ルリちゃんとラピスに再会する為、彼女達をアリスの下から救い出すために!

今一度力を求める事にしよう。今度は彼女達を如何なる困難からも守り通せるだけの力を・・・

「サレナの言う通りだな。俺は必ずルリちゃんとラピスの下へと行く」

『(はぁ〜、せっかく実体化出来る様になったのに。早々に恋敵の再登場ですか、早過ぎです)」

そんなサレナ葛藤がアキトの知らないところで渦巻いていた。

『それでマスター、これからどうしますか?」

「これからか・・・」

この島の大きさは、ここから見える範囲でそんなに大きくはない。

探索したとしても半日と掛からずに見て回れるだろ。

もっともこの島を探索したとしても、得られる情報は恐らく無いだろう、重要施設は恐らくあの塔だけだ

『それではまず、塔内の探索から始めますか?』

「・・・妥当だな。」

灯台に似た白い構造物をアキトとサレナは一日掛けて探索した結果。大きな図書室に、寝室、調理場、

トイレ、浴室、広間、倉庫、他にも幾つか使われていない客室らしき場所を発見した。

倉庫の中には充分な食料が確保されていた。水の心配も無いようだ。魔法の力らしき物なのか、

文字通り湯水の如く水が湧き出ていた。調理場やトイレ、浴室等も魔法の力で動いている事を確認した。

とりあえずアキトとサレナは食事を取る事にした。もっともサレナは食事を取る必要が無いが、

気分の問題ですと言って、一緒に食事を行う事になった。調理はサレナが行う事に・・・

『お口に合いますか?マスター?』

味覚が戻ってからの初めての食事、ゆっくりとサレナが作ったチャーハンを口に運んだ。

「・・・・・・・美味いよ。サレナ」

チャーハンの味が口一杯に広がっていく。

サレナの作ったチャーハンはとても美味しく、心を温かい気持ちにしてくれた。

最初は久しぶりの食事の感触に舌が驚いていたが、舌が慣れるようにゆっくりと食事を進めていく。

本当にサレナが作った料理は美味しかった。

『マスターの記憶にあった料理の仕方で、下ごしらえを整えて調理しましたが。

これでよろしかったでしょうか?』

「いや、初めてにしては上出来だよサレナ。俺の味をほぼ完璧に出している」

サレナの作ったチャーハンの味は、昔俺が作っていた天河特製チャーハンの味とほとんど同じだった、

これは、俺と同質の能力を得ると言う。幻影魔鏡の力の影響らしい。

「・・・・・・・・こんなに食事が楽しいとは」

自分が味覚を失って初めて分かった事がある。

それは自分が本当に料理の事が好きだった事。コックになれて幸せだった事だ。

もうコックになるつもりは無いが、大切な人達の為に料理を振るいたいと思った

それはサレナや、ルリ、ラピスに自分の作った料理を食べて貰いたいからだ。

食事を終えて、アキトとサレナは魔法の手掛かりがある、図書室に向かった。

図書室はかなりの大きさだった。小学校の三倍近い大きさ。

それもそのはず。一つのフロアが丸ごと図書室になっているからだ。

早速アキト達は図書室の中に入り、アキトは手短に合った本を取ってみるが

「・・・俺には読む事の出来ない本ばかりだ」

本の大半はラテン語で書かれており、ラテン語の分からないアキトには読む事が出来なかった。

『確かにマスターにはかなり難しいと思います。書かれている内容を理解するには、

ラテン語の他に予備知識も必要の様ですし、ここは私が調べておきます』

「そうか、頼む」

魔法に関する情報収集はサレナに一任した。

サレナは元高性能AIであり、その記憶力と思考力、言語能力は人間を遥かに超えた存在である。

どんな難解な言語も彼女の手に掛かれば、易々と解読する事が出来るだろ。

そしてアキトはサレナとリンクシステムで、表層意識が繋がっているので、

彼女の覚えた知識や情報は、そのままアキトも同じく共有して活用する事が出来るのだ。

そして翌日からアキトは塔内の修錬所で鍛錬を、サレナは図書室で情報収集を開始した。



その頃、ルリとラピス達は・・・そしてアリスは・・・

禁断の聖域。魔法世界の中にありながら異次元空間に阻まれ。けして外部からは辿り着く事が出来ない、

古代王朝時代の遺跡が在るとされている場所。

その存在は既に伝説となり、人々の記憶から徐々に失われつつあった。

「ゴメンなさい、お茶会に遅れてしまって。少し用がありまして」

そう言って、アリスは少女達に笑いかける。

「アリスさん、今まで何処に行っていたんですか?」

声を掛けたのは瑠璃色の髪と琥珀の瞳を持つ少女。星野ルリ

「アリス、また祭壇に行っていたの・・・」

今度はピンク色の髪と琥珀の瞳を持つ少女。ラピス・ラズリが声を掛けた。

彼女達二人は、庭園に設けられたテラスで先に紅茶を楽しんでいた。

「ええ、祭壇の方に少し用がありまして。でも用はもう済ませて来ましたから。

お茶会を楽しみましょうか、ラピス、ルリ」

そう言って彼女はテラスの椅子に座り、ラピスが入れた紅茶を口に付ける。

「美味しい」

彼女は温和な笑顔を浮かべていた。

「アリスさん?何か良い事でもありましたか?」

何時も以上に笑顔を浮かべるアリスに、疑問を抱いたルリは彼女に尋ねた。

「はい、とても良い事がありました。ルリ」

「そうなんだ。アリス良かったね」

笑顔こそ見せないラピスだが、彼女もアリスに良いことがあって嬉しいと感じた。

しかし、彼女達の純粋な想いはアリスに届く事はない。

「ふふふ、もう直ぐ私は全てを手に入れる。私の全ては満たされる・・・」

私に出来た初めてのお友達。星野ルリとラピス・ラズリ。

そして私が初めて憎いと思った子達。彼女達の身の上は不幸だった。

でも私に比べれば彼女達は大分マシな方。彼女達は既に彼によって心が救われているのだから。

でも、私には救いは訪れなかった。今の今まで・・・

私は生まれた時からずっと、この禁断の聖域の中で生活して来た。気の遠くなる程の昔の事

まだこの国が人に溢れ繁栄に満ちていた時代。私は生まれる前から生贄として選ばれていた。

そして私はこの世に誕生して直ぐに、この生贄の祭壇へと捧げられた。つまり神への供物である。

・・・この国にはかつて神が居た。いや、その正体は魔王並の力を持つ上級悪魔だった。

悪魔は強大な力を持っていたが、それ故に古き時代の神々との争い、敗れてこの地へと堕ちて来た。

かつてこの地には、大小様々な国や民族が入り乱れての、長い戦乱の時が在った。

この地域を統一した古代王朝の王は、傷付いた悪魔と契約する事で力を手に入れ、統一を成し遂げた

古代の王と契約した悪魔は、力を取り戻す為に多くの供物を王に要求した。

悪魔は供物を食らい、徐々にその力を取り戻していった。それから100年の月日が流れた。

そして遂に私の番が訪れた。しかしその頃には悪魔は生贄を必要としない程、

力を取り戻して復活の準備に掛かっていた。それを察した王国に使える魔法使い達が、

私の身体に悪魔を封印して、そのまま悪魔事私を抹殺しようと企んでいた。

そして私が生贄に捧げられる日が訪れた。

祭壇の上に上げられた赤ん坊の私を最後の糧に、悪魔は復活するつもりだった。

悪魔は私を喰らおうと、手を伸ばして私を掴んだ瞬間。私の身体に予め施されていた魔方陣が発動する。

一見悪魔の封印は上手く言ったかと思われたが、・・・結果は失敗に終わった。

所詮人間の力では無理だったのだ。許容を超えた悪魔の力が、封印の力を凌駕して暴走を始めた

暴走した悪魔の力は、私の体からどんどん溢れ出した事により、

古代王朝は一夜にして滅び去った。・・・私一人を残して。

そして魔法使い達の施した呪縛により、悪魔は私と共に永遠にこの地に縛られる事になった。

そして長い時の中で、私の意識と悪魔の意識はお互い合わさり溶け合った。

そして何時しか、悪魔とも私とも違う別な心が生まれる事になった。それが今の私。

私は誕生してからずっと一人でこの地に生きて来た。永遠の呪縛に囚われた存在として。

長い時の流れの中でかつての王朝は伝説となり、その存在を知る者も少なくなって来た。

悪魔を倒した古き神々達も、既にこの世界より去り、新たな世界へと赴いてしまった。

私は何とか思念体を飛ばして、外の世界へと散策に出た。

外の世界は私が思っていた以上に素敵な所だった。しかし同時に汚い一面も沢山見てしまった・・・

・・・そして一年前、彼女達が生贄の祭壇に突如として現れたのは。

私は彼女達を客人として色々もてなした。警戒していた彼女達も私に心を開いて色々な事を教えてくれた

自分達の事、自分達が居た世界の事、そしてここに来た理由を・・・

でも、何時しか私の心の中には、彼女達に対する嫉妬の情念が渦巻くようになっていた。

彼女達も私と同じ、身勝手な人間に言い様に理由されて生まれて来た存在。

でも、私と決定的に違うのは、彼女達を心から愛する人によって、既に心と体を救われていた事だ。

彼女達はその救いをもう一度得る為に、この世界へとやって来た。

・・・私には無かった。私は生まれた時からずっと一人でここに居た。誰も助けてくれなかった。

そして何時しか、私の中にある黒い感情を押さえ切れなくなっていた。

だから、彼女達から記憶を奪ってそれを自分の物にした。

彼女達には奪った記憶の換わりに、私の作り上げた偽りの記憶をプレゼントした。

彼女達から奪った記憶は実に甘美な物だった。私がけして味わう事が出来なかった物

心の安らぎを感じた。温かさを感じた。そして私はもっとそれ等が欲しくなった。

だから彼女達にこんな気持ちを上げた、彼の事が堪らなく欲しくなった。永遠に自分の物にしたいと思った。

そして、一年後運命の日が訪れた。彼女達が求めた彼がこの世界へとやって来た。



改正版後書き。

アリスと言うのはオリキャラ。次回の修行編にもう一人オリキャラを出す予定。

改正版ではこれ以上オリキャラを出す事はありません。

・・・なんかあんまりネギま!とクロスしていないじゃないか、と言う意見が出ていますが。

当初の計画ではネギと数名のサブキャラを加えた、超編後のオリジナル展開をメインに置いて

話しを進めようと思ったからです。しかし改正版ではその展開を根本的に止める事にしました。

4話目の予告は一旦忘れてください。原作通り歴史改変をネギが阻止する方向に切り替えましたから。

陰謀渦巻く超編にどの様にアキトが関わっていくか。ここがメインとなります。

とりあえず超編は4話(前後)程を予定していますが、もしかしたらもっと増えるかもしれません。

それと改正前はアキトは魔法が使えない代わりに、気と魔力を二つ使う事が出来る設定でしたが

改正後は気は使えずに、魔法のみを使える設定に変更しました。当然咸卦法は使用出来なくなります。

アキトの弱体化に合わせて、戦うのは本物の赤竜では無く竜の石像に変更しました。

それと本契約から仮契約にしましたので、アーティファクトも弱体化しています。

という事で三話目の内容は大幅な修正が必要になるので、結構な時間が掛かると思います。



人物ファイルその1「サレナ」クラス:情報工作員

種族は機械とナノマシン集合体。実体化中は魔法生命体

見た目の年齢は20歳前後。黒い長髪に黒い瞳、白い肌を持つ、黒い着物姿の大和撫子。

かつてはブラックサレナの中枢AIだったが、

アキトのランダムジャンプに巻き込まれる形でこの世界に実体化した為、アキトと融合してしまった。

その後パクティオーカードの力で人間の姿に実体化した。

元AIだけあって、その記憶力と思考力は人間を遥かに越えた域にある。

マスターであるアキト至上主義で、密にアキトの事が主従を越える想いを抱いている。

アキトの影より召喚されているので、サレナの能力はアキトと同一の能力を得る事が出来る。



人物ファイルその2「アリス」クラス:古の魔女

種族は魔人。年齢は推定10000歳以上(古代王朝が存在していた頃の年代)

黒い髪、赤い瞳を持つ少女?黒いフードに隠された素顔を見た者は誰も居ない。

時々祭壇から思念体を飛ばして、外の世界を散策する事が趣味。

思念体なのでほとんど実体は無いが、魔法を使用することは出来る。

アキトとキスした時も実体では無く思念体でなので、お互いの唇は触れ合ってはいない。

思念体は何時でも飛ばせる訳ではなく、一定周期のでしか思念体を飛ばすことが出来ない。

融合した悪魔の知識により、古の魔法や召喚術を使う事が出来る。